「最近、社員の表情に覇気がないように感じる…」「もっと情熱を持って仕事に打ち込んでほしい」
多くの経営者や人事担当者が、社員の働く意欲についてこうした想いを抱いているのではないでしょうか。
その解決の鍵は、社員一人ひとりが持つ「マイパーパス(働く意味・目的)」にあるのかもしれません。
今回は、社員が自分自身の「マイパーパス」を発見し、それを育むことで、個人も組織も共に成長し、より良い状態を目指せる方法を、具体的かつ分かりやすくご紹介します。
さあ、社員の内に秘めた可能性を探っていきましょう。
なぜ「お金のためだけ」じゃ、もう頑張れないの?働く意味の変化をキャッチ!

かつては「働くのは生活のため、お金のため」という考え方が一般的だったかもしれません。
しかし、社会が豊かになり価値観が多様化する中で、働くことの意味合いも変化しています。
内閣府の調査結果からも、「経済的な豊かさ」だけでなく、「生きがい」や「社会貢献」、「自己成長」を仕事に求める人が増えていることが伺えます。
もちろん、生活を支える上で報酬は重要な要素です。
しかし、心理学者のティム・カッサーとリチャード・ライアンの研究によれば、「高収入を得たい」「社会的地位を高めたい」といった外的な目標だけを追求するよりも、「自分自身を成長させたい」「周囲と良好な関係を築きたい」といった内面から湧き出る目標を持つ方が、人は持続的な幸福を感じやすいとされています。
「やらされ感」で取り組む仕事よりも、自ら「これがしたい!」という内発的な動機から生まれるエネルギーは、計り知れないほど大きなものです。
社員が心から「取り組みたい」と思える何かを見つけるサポートができれば、組織にとって大きな力となるでしょう。
「マイパーパス」って何?自分だけの「やりがい」を見つけるヒント
「パーパス」という言葉を最近よく耳にするようになりましたが、これは決して難しい概念ではありません。
簡単に言えば、「自分にとってこの仕事はどんな意味があるのか?」あるいは「社会の中で、自分はどのような価値を提供できるのか?」といった、仕事に対する個人的な意味づけや存在意義のことです。
ポジティブ心理学の第一人者であるセリグマン博士は、「意味のある人生」とは、「自分よりも大きな何かのために、自分自身の最も高い強みを使うこと」と定義しています。
「誰かのために」と考えると少しハードルが高く感じるかもしれませんが、決して自己犠牲を強いるものではありません。
経営学者のアダム・グラント氏が著書『ギブ・アンド・テイク』で示したように、「自分の時間をどう使うか主体的に選択しながら、他者に貢献する人(主体性を持つギバー)」こそが、結果として充実した人生を送る可能性が高いのです。
他者への貢献が、巡り巡って自分自身の喜びや成長に繋がるというのは、非常に魅力的な考え方ですよね。
では、どうすれば自分だけの「やりがい」や「マイパーパス」を見つけることができるのでしょうか。
タル・ベン・シャハー氏が提案する「本当に本当にしたいこと」を見つけるためのステップが役立ちます。
まず、自分にできそうなことを幅広くリストアップし、その中から「したいと思うこと」を選び抜きます。
次に、それをさらに「本当にしたいこと」へと絞り込み、最終的に「本当に本当にしたいこと」を見つけ出すのです。
この最も内側にあるものが、あなたの心の奥底にある真の願いかもしれません。
どんな仕事も「天職」に変わる!?「ジョブ・クラフティング」というアプローチ
「私の仕事はルーティンワークばかりで、とてもパーパスなんて見いだせない…」そう感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、そこで諦めてしまうのはもったいないかもしれません。
イェール大学のエイミー・レズネスキー教授らが提唱する「3つの仕事観」という考え方があります。
- ジョブ(Job): 生活のための手段、義務として働く。
- キャリア(Career):昇進や成功、地位向上のためのステップとして働く。
- コーリング(Calling): 内なる使命感や情熱に基づき、仕事そのものに喜びや意義を見出して働く。「天職」とも訳されます。
注目すべきは、客観的に見れば同じ仕事であっても、本人がその仕事の意味をどう捉え、どう意味づけるかによって、「ジョブ」が「コーリング」へと転換し得るという点です。
例えば、ある病院の清掃スタッフが、単に床を掃き、ゴミを集めるという作業をこなすのではなく、「患者さんが安心して療養に専念できる、清潔で心地よい環境を提供する」という使命感を持てば、その仕事は彼女にとって尊い「コーリング」となり得ます。
このように、社員が自ら仕事の意味や価値を再定義し、より主体的かつ創造的に仕事に取り組む工夫をすることを「ジョブ・クラフティング」と呼びます。
このアプローチを取り入れることで、どんな仕事にも新たな光が当たり、社員のエンゲージメントを高める可能性が生まれるのです。
組織ができる応援!社員の「マイパーパス」を育む、活気ある環境づくり
社員が自分自身の「マイパーパス」に気づき、それを日々の仕事で活かせるように、組織としてどのようなサポートができるでしょうか。
それは、一人ひとりの「やりたい」という想いを尊重し、それが実現に向けて動き出すような、前向きで活気のある環境を整えることです。
例えば、以下のような取り組みが考えられます。
- 充実した対話の時間(1on1): 上司と部下が、業務の進捗確認だけでなく、お互いの価値観やキャリアビジョン、仕事を通じて成し遂げたいことなどを率直に語り合える質の高い対話の場を設けましょう。
- 挑戦を後押しする制度: 社員の「こんな新しいことに挑戦してみたい」という自発的な提案を歓迎し、新しいプロジェクトへの参加や学習機会の提供を通じて、その実現をサポートする仕組みを整えます。
- 貢献を認め合い、称賛し合う風土: 日々の業務における小さな成果や他者への貢献を見逃さず、お互いに感謝の言葉を伝え、認め合うオープンなコミュニケーションを奨励します。
- 共感を呼ぶストーリーの共有: 社員がどのような想いや背景を持って仕事に取り組んでいるのか、その個人的なストーリーを社内で共有する機会を作ることで、相互理解が深まり、共感の輪が広がります。
アップル社の共同創業者であるスティーブ・ジョブズは、
「未来を見て点を結ぶことはできない。過去を振り返って点を結ぶだけだ」
という言葉を残しています。
今はまだ明確な形になっていなくても、社員が自分の心と直感に従って「これが好きだ」「これを追求したい」と感じることに一歩踏み出す勇気を、組織として温かく見守り、後押しすることが大切です。
まとめ:「マイパーパス」が灯す情熱で、組織も個人もより豊かに!

社員一人ひとりが自分だけの「マイパーパス」を見出し、それを原動力として仕事に取り組むようになった時、組織にはどのような変化が訪れるでしょうか。
そこにはきっと、これまで以上の活気と前向きなエネルギーが生まれ、より生産的で創造性に富んだ、素晴らしい未来が拓けるはずです。
「やらされ仕事」から「やりがいのある仕事」へ。そんな意義深い変化を、あなたの組織でも実現しませんか?

弊社では、社員の皆さんがご自身の「マイパーパス」を発見し、それを日々の業務を通じて輝かせるための支援を行っています。
内省を深めるワークショップの開催や、パーパスを重視した組織文化を育むためのコンサルティングなど、貴社のニーズに合わせた多彩なプログラムをご用意しております。
「うちの会社をもっと活性化させたい!」とお考えでしたら、ぜひお気軽にご連絡ください。
一緒に、より良い未来への扉を開くお手伝いができれば幸いです。
